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読売新聞 2


2014年4月11日(金曜)

 

医療ルネサンス No. 5796 シリーズ薬 危険な処方

 

安易な継続で依存症状

 

先月下旬、抗不安薬と睡眠薬の多くを占めるベンゾジアゼピン系薬剤の有害性や減薬法を紹介するインターネットサイト「Benzo Case Japan」が開設された。ニュージーランド人のウェイン・ダグラスさん(47)が、英国人医師らの協力で日本語版と英語版を完成させた。

ダグラスさんは日本文化に興味を持ち、25歳で初来日した。全国各地の自治体で働き、国際交流の担当や英語講師などを務めた。

2000年5月、突然の激しいめまいに襲われ、東京の耳鼻科医院を受診した。医師は「薬で体質を変える」と、ベンゾジアゼピン系薬剤を3種類処方した。

これらは精神科で多く処方されるが、筋肉の緊張を和らげる作用や鎮静作用などを期待し、一般診療科でも安易に処方されやすい。

決まった量でも長く飲むと不安感などが強まる依存症に陥る恐れがある。耐性ができて薬の効果がなくなり、断薬した時と同じような離脱症状が表れるためだ。だが医師は「少量では依存性はなく副作用もほとんどない」と説明した。

その後、症状は悪化。恐怖や不安に突然襲われるパニック発作など、以前はなかった症状も表れた。同年11月に断薬を試みたが、パニック発作が頻繁に起き、耐えられず薬を再開した。

ニュージーランドに戻り、薬物依存症の専門病院でベンゾジアゼピンの依存症と診断された。通院し、薬を少しずつ減らした。それでも、離脱症状の抑うつや強い不安感は断薬後も続き、主治医が復職許可を出すまでに約1年かかった。

 

*Benzo Case Japan

http://www.benzo-case-japan.com

インターネットサイトの作成に力を入れる
ウェイン・ダグラスさん(長野県の自宅で)


 

「科学的根拠のない処方で大きな不利益を被った」。ダグラスさんは07年、民事訴訟を起こした。医師側は依存症を否定し、もともとの自律神経失調症だと反論。ニュージーランの主治医は「症状の経過をみると、明らかに依存症だ」と主張したが受け入れられず、11年、高裁でも敗訴した。

だが「日本の状況を変えたい」との思いは強まった。東日本大震災の時は福島県内の国際交流施設で仕事をしていて被災したが、日本にとどまった。避難先で英語講師のアルバイトをしながら、12年にはベンゾジアゼピン系薬剤の減薬手引「アシュトンマニュアル」の日本語版を翻訳者のひとりとして完成させた。「おかげで断薬できた」との感謝の声が次々と届く。

ダグラスさんは「医師も裁判所も頼れない日本では、正しい情報で社会を変えるしかない。欧米の著名な医師たちも日本を問題視しており、力を借りて患者のネット調査などを行いたい」と意欲を見せている。


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読売新聞 2


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ジョン・マースデン

「もし何かの薬を飲み続け、それが長い長い災難をもたらし、あなたからアイデンティティをまさに奪い去ろうとしているのなら、その薬はベンゾジアゼピンに違いない。」

ジョン・マースデン医師
ロンドン大学精神医学研究所
2007年11月1日

フィリップ・ウーラス

「我々の社会において、ベンゾは他の何よりも、苦痛を増し、より不幸にし、より多くの損害をもたらす。」

フィリップ・ウーラス下院議員
英国下院副議長
オールダムクロニクルOldham Chronicle (2004年2月12日)

ヴァーノン・コールマン

「ベンゾジアゼピン系薬剤はおそらく、これまでで最も中毒性の高い薬物であろう。これらの薬を大量に処方してきた途方もなく大勢の熱狂的な医師達が、世界最大の薬物中毒問題を引き起こしてきたのだ。」

ヴァーノン・コールマン医師

薬という神話 (1992)

デイヴィッド・ブランケット

ブランケット下院議員、ベンゾジアゼピンについて語る。

「これは国家的スキャンダルである!」

デイヴィッド・ブランケット(英国下院議員)
1994年2月24日

ポール・ボーテン

この気の毒な問題に取り組む全ての関係者は、トランキライザー被害者の為に正義を提供するよう努めるべきである。

ポール・ボーテン(英国下院議員), 1994年

マルコム・レイダー

「ベンゾジアゼピンから離脱させることは、ヘロインから離脱させるよりも困難である。」

マルコム・レイダー教授
ロンドン大学精神医学研究所
BBC Radio 4, Face The Facts
1999年3月16日

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