控訴審判決の不当性(C)
2.2.7 X医師による処方薬の量および期間では依存症を形成する可能性が十分にある
判決書によると、X医師による処方薬の量および期間では依存症を形成する可能性がないと言っているが、これは、アシュトン教授の専門意見を完全に反している(下記参照)。
「もしベンゾジアゼピンが定期的に2~4週間以上にわたり服用されるならば、耐性と依存が生じる可能性がある。最小投与量はなく、例えば耐性と依存は2.5mg~5mgのジアゼピンの定期的な服用後に見られたこともある」(甲A35-ジャドスン医師第3意見書2.1事項)。
注:アシュトン教授がベンゾジアゼピン依存症の世界ナンバーワンの第一人者であり、地球上では、アシュトン教授よりベンゾジアゼピン依存症についての知恵を有する人物は存在しない(別紙⑥の2)。ジャドスン専門医の各意見書作成については、アシュトン教授が文献や専門意見などの提供により協力をしてくれた。
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2.2.8 高等裁判所は個体性を考慮していない
ジャドスン専門医の第5意見書は、依存症における個体性を説明し、次のように述べている。
“多くの因子により、離脱症状の持続する期間や激しさなどがひとりひとりの場合は異なる。
臨床研究において、「各人の離脱症状は違う」とアシュトン教授が意見を示した。この個人差が存在するからこそ治療中に注意深くの観察(モニタリング)を行うのはとても重要なことである”(別紙⑨:ジャドスン医師第5意見書2.2事項)。
しかし、判決書の内容をみると、高等裁判所は個体性を考慮していない事が明白である。
また、ジャドスン医師は第3意見書1.3事項にて、下記のとおり説明した。
「続いて、ウェインの患者のカルテ情報の内容を考慮し始める以前に、彼の症状や、全体的臨床像、DSM IV-TRの適用からして、当職は既に、少なくとも50~100%の可能性で、彼はただ処方の期間と投薬量のみにより依存を生じたと断定することができる。原注:依存の可能性が広範囲である理由は、個体性が考慮される必要があるためである」。
注:上記の翻訳会社による和訳は間違えている。
本来的な意味は次のとおり:「続いて、ウェインの患者のカルテ情報の内容、彼の症状や、全体的臨床像、またDSM IV-TRの適用を別にしても、ただ処方の期間と投薬量のみにより、少なくとも50~100%の可能性で、彼は依存を生じたと断定することができる。原注:依存の可能性が広範囲である理由は、個体性が考慮される必要があるためである」。
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2.2.9 翻訳のミス
ジャドスン専門医による各意見書の和訳を翻訳会社に依頼してきたが、いつもは2ヶ国に渡り、また2ヶ国語を使って弁護士と医師の間で、関連資料(各カルテ開示請求、解読文作成、翻訳文作成など)必要もあって、提出締切日に間に合わせるだけで精一杯だったので、訳文をチェックする余地もなく、翻訳のミスが生じた結果、意見書の説得力が弱まった所もある。
(翻訳の注意)
翻訳会社は、下記のとおり、“most likely”という言葉を「おそらく」という言葉に訳してきた。
例:
Report 3 | Article 2.2.7 | (耐性および離脱症状) |
Report 3 | Article 3.3.5 | (鑑別診断) |
Report 3 | Article 3.3.14 | (鑑別診断) |
Report 3 | Article 3.3.20 | (鑑別診断) |
Report 3 | Article 3.3.21 | (鑑別診断) |
Report 4 | Article 3.2.8 | (鑑別診断) |
Report 4 | Article 3.2.12 | (鑑別診断) |
Report 4 | Article 4.1.7 | (鑑別診断) |
おそらく= perhapsですが、perhaps は可能性として40%ぐらいしかない。でも“most likely”(「可能性が最も高い」)は可能性として90%ぐらいになり、比較的にぜんぜん違うので、これを理解する必要がある。
注:上記の事項では、ジャドスン専門医が主張していたのは、薬剤治療に伴った上告人の症状は、単なる生活上のストレス/不安ではなく、投薬による耐性および離脱反応で起こった蓋然性が最も高い(“most likely”)ということである(別紙⑦:甲A35-ジャドスン医師第3意見書3.3事項)。
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その翻訳は私自身を含む複数の人によって手がけられました。
私の母国語は日本語ではありませんので何卒ご理解いただきたくお
Each one of us has a different experience of withdrawal.
The duration and degree of intensity can vary depending on the individual and there are many reasons for this.