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中毒治療科 医学報告書(1)

注 記

  • この報告書をインターネット上に公開することと、サイトの便宜上、書式を変更することについて(報告書の内容に変更はありません)、グレアム・ジャドスン医師から直接許可を貰っています。
  • 裁判中は十分な時間がなかったため、誤訳がいくつかあります(誤訳について参照)。不明なところがあれば、英語原文を参照して下さい。

 

 

(翻訳文)

翻訳文作成日: 平成20年5月6日

翻訳文作成者: 代理人弁護士

 

医学報告書

 

ウェイン・ダグラス ― ベンゾジアゼピン依存の件

 

 

作成者: グレアム・ジャドスン医師、タラナキ病院、アルコール・薬物中毒治療科 医長

提出先: 東京地方裁判所

日 付: 2008年4月24日

署 名: グレアム・ジャドスン

 


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緒 言

当職(グレアム・ジャドスン)は,ウェイン・ダグラス氏のベンゾジアゼピン依存症に関して本報告書の交付を依頼された。

当職はタラナキ病院のアルコール・薬物中毒治療科の医長である。当職は16年間アルコール・薬物離脱治療に従事し,ベンゾジアゼピンその他の薬物依存症患者の診断に関与している。当職の資格は,学位として人間生物学士,医学士及び外科学士に加えて,学位取得後,保健学修士,中毒医学会南洋州支部特別会員の資格である。

 

訳注:

人間生物学士 (BHB, Bachelor of Human Biology)

医学士及び外科学士 (MBChB, Bachelor of Medicine

And Bachelor of Chirurgery [=Surgery])

保健学修士 (MHSc, Master of Health Sciences)

中毒医学会南洋州支部特別会員 (FAChAM, Fellow of The Australasian Chapter of Addiction Medicine)

 

本報告書は,当職が既に交付した複数の書簡の内容に加うるに,ウェインのベンゾジアゼピン依存症に関する一層詳細な情報を含む。

本報告書は,下記の3章から成る。

       1 患者の既往歴

       2 依存症診断/DSM-IV-TR診断基準

       3 標準的漸減療法計画

全体的臨床像を把握し,ベンゾジアゼピン依存症診断に至るためには,まず,患者の既往歴の調査を要する。患者の既往歴とは,以下のものを含む。すなわち,治療前医療歴,患者概要,薬物乃至処方履歴,症状歴等である。当職は,それらにつき,本報告書の第1章で概説する。

原注:第1章には,ウェインと同人の弁護士であるA氏の提供した情報もまた,含まれている。

患者の既往歴の調査をした後,全体的臨床像とベンゾジアゼピン依存症の診断基準との関連性が明らかとなる。本症例では,ベンゾジアゼピン依存症の診断基準(本報告書の第2章で概説する。)として,DSM-IV-TRを採用している。

第3章では,標準的漸減療法につき概説する。

本報告書の末尾に,調査結果の要約を掲げる。


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(1)患者の既往歴

1.1 治療前医療歴

1.2 患者概要

1.3 薬物乃至処方履歴

1.4 症状歴

第一章を読む


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(2)依存症の診断

2.1 診断手順

2.2 全体的臨床像

2.3 DSM-IV-TR 診断基準

2.4 ICD-10 診断基準

2.5 鑑別診断

第二章を読む


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(3)標準的漸減療法

3.1 漸減療法の全経過

第三章を読む


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要 約

要約するに,ウェインの呈した症状は,ICD-10診断基準とDSM-IV-TR 診断基準のいずれの観点からしても,ベンゾジアゼピン依存症であると診断すべきである。

全体的臨床像を含む上記の記載事項に基づき,当職の専門家としての意見は,以下の通りである。すなわち,ウェインは,2000年(平成12年)7月5日にX医師により最初に処方されたベンゾジアゼピンによりまさしく依存症となったのであって,その依存症の結果,苦しんで来たということである。

以上


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原本

報告書(1)の原本を見るにはここをクリックしてください。

 

 

誤訳について

  • 誤訳について」で、医学報告書にある誤訳(翻訳会社のミス)を訂正しています。
  • それらの誤訳について解説を加えているので、誤訳が裁判に影響を与えた可能性があったかどうかご判断いただけるかもしれません。また、ここは外国語や翻訳に興味のある人にとって面白いかもしれません。

 

 


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日本語訳について

このサイトの主要言語は英語です。裁判で使用された日本語の原文を除き、日本語はすべて翻訳となっています。

その翻訳は私自身を含む複数の人によって手がけられました。従って、品質やスタイルなどに違いが見られます。

私の母国語は日本語ではありませんので何卒ご理解いただきたくお願い致します。その結果として、日本語が不自然に響く箇所があるかと思いますが、どうぞご了承ください。

ジョン・マースデン

「もし何かの薬を飲み続け、それが長い長い災難をもたらし、あなたからアイデンティティをまさに奪い去ろうとしているのなら、その薬はベンゾジアゼピンに違いない。」

ジョン・マースデン医師
ロンドン大学精神医学研究所
2007年11月1日

フィリップ・ウーラス

「我々の社会において、ベンゾは他の何よりも、苦痛を増し、より不幸にし、より多くの損害をもたらす。」

フィリップ・ウーラス下院議員
英国下院副議長
オールダムクロニクルOldham Chronicle (2004年2月12日)

ヴァーノン・コールマン

「ベンゾジアゼピン系薬剤はおそらく、これまでで最も中毒性の高い薬物であろう。これらの薬を大量に処方してきた途方もなく大勢の熱狂的な医師達が、世界最大の薬物中毒問題を引き起こしてきたのだ。」

ヴァーノン・コールマン医師

薬という神話 (1992)

デイヴィッド・ブランケット

ブランケット下院議員、ベンゾジアゼピンについて語る。

「これは国家的スキャンダルである!」

デイヴィッド・ブランケット(英国下院議員)
1994年2月24日

ジェレミー・ローランス

「薬があれば、製薬会社はそれを使える病気を見つける。」

ジェレミー・ローランス (ジャーナリスト)
インディペンデント紙 (2002年4月17日)

マルコム・レイダー

「ベンゾジアゼピンから離脱させることは、ヘロインから離脱させるよりも困難である。」

マルコム・レイダー教授
ロンドン大学精神医学研究所
BBC Radio 4, Face The Facts
1999年3月16日

ヘザー・アシュトン

「長期服用者のうち15%の人たちに、離脱症状が数ヶ月あるいは数年持続することがある。中には、慢性使用の結果、長期に及ぶ障害が引き起こされる場合もあり、これは永続的な障害である可能性がある。」

ヘザー・アシュトン教授
医学博士、名誉教授
Good Housekeeping (2003年)

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